最近、ある取引先との契約書のやり取りが長引いている。NDA(秘密保持契約)と、業務委託に関する覚書。2種類の契約書を巡って、もう何度もメールで指摘のやり取りを続けている。
🔍 細かすぎる指摘、荒すぎる下書き
相手から届いた契約書の下書きには、確かに気になる点がいくつもあった。例えば、契約が途中で打ち切りになった後で、それまで自社が行っていた営業支援(いわゆるプレセールス)がきっかけとなってお客様との契約が成立した場合に、報酬が発生するのかどうかが書かれていない。あるいは、契約を結ぶより前から自社が持っていたノウハウやひな形の権利まで、契約に基づく成果物と一緒に相手側へ移ってしまいそうな書きぶりになっている。
こうした点を一つずつ拾い出して指摘していくと、あっという間にリストは十数項目に膨らんだ。自分でも、ここまで細かく指摘する必要があるのだろうかと思う一方で、そもそもの下書きの作りがやや粗いのも事実で、こちらが細かくならざるを得ないのは、ある意味で当然なのかもしれないとも思う。
🤖 AIはリスクを教えてくれるが、決めてはくれない
こうした契約の相談をAIにすると、リスクになりそうな点はどんどん洗い出してくれる。これは本当に頼りになる。ただ、リスクへの対応には、回避する・低減する・移転する・受け入れる、といった選択肢があるはずなのに、AIは「ここにリスクがあります」とは教えてくれても、「これは受け入れましょう」とはなかなか言ってくれない。
最終的にどれを選ぶかは、結局のところ自分で決めるしかないのだと思う。リスクを指摘され続けると、つい全部を潰しにいきたくなるが、それでは話がまったく前に進まなくなってしまう。
📝 案ずるより、進むが易し(のはず)
「案ずるより産むが易し」という言葉がある。でも、契約書という紙の形で受け取ってしまうと、それを読んで、気になる点についつい気づいてしまう。気づいた以上、指摘せざるを得ない。指摘すればするほど、話が前に進まなくなる。契約はある程度おおらかに進めるという考え方もあるとは思うが、いざ書面という形で目の前に出されると、そう簡単には割り切れない、というのが正直なところだ。
リスクを見つけることと、それを受け入れる決断をすることは、まったく別の作業なのだと、今回はよく分かった。指摘のリストを完璧にすることより、どこかで「これくらいは受け入れよう」と自分で線を引くことのほうが、実はずっと難しい。次の一歩をどう踏み出すか、もうしばらく考えてみたいと思う。


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